消してるのか

12年前乳がんで亡くなった母。

母のもの、数年何も手を付けることができなかった。捨てるなんてとんでもない。昨日まで、一週間前まで、一ヶ月前まで、去年の春まで、夏まで、秋まで、冬まで、一緒にいたのに…。捨てられるわけない。絶対あり得ないけど、荷物をそのままにしていたらまた戻ってきて使う時があるかもしれない。そんなこと叶うわけないと思いながらもそうなってくれ、そう信じないと私はもうこれ以上生きられないと思っていた。

数年経ったころからようやく色々捨てられるようになった。数年と言うか10年くらいはかかった気がする。

目にすれば、触れれば、一瞬で生きていたあの頃に戻る。楽しく過ごした日々を懐かしむ気持ちと共に死別後数年の悲しみに暮れていた辛い気持ちも蘇る。

もういないんだから取っておいても意味はない、と次々にものを捨てる自分に驚く。母がこの世にいないことをようやく認めることができたということだろうか。悲しい。認めてしまった自分の薄情さが嫌だ。でも、夢でしか会うことができないという事実を10年近くかけて突きつけられ、受け入れるしかなかった。

 

ものを捨てると物理的にその場所が整頓され綺麗になるので、すっきりとした気持ちになる。何て薄情な娘だろう。自分を責めたくなる。

一つ一つ捨てていくと、母の生きていた痕跡をこの手で消しているような気になってくる。

私が、この手で、母の人生を消しているのか。

自分を責めてとても辛い気持ちになる。

ごめんね。許して。

残されたものを一人で整理しているとエネルギーを吸われるのか体調が悪くなる。だから自分が心身ともに元気でよし行けると思える日でないと向き合うことができない。そうやって体調の良い日を選んでもたいてい寝込んでいる。心にとてつもない負荷がかかる作業であることを痛感する。

プロに頼んでお金を払い解決することはとても理にかなっていると思う。

自分が遺品整理をすることなんて毛頭考えていない姉、弟、羨ましいと思う。この苦しみ悲しみを味わうことがないのだから。私の苦しみの上に彼女たちの普通の生活が成り立っていると思うと本当に腹立たしい。ずるい、ずるい。考えても仕方ない。

1.

36歳独身。両親死んでもういない。

姉と弟いるけど県外。姉とは4年会ってない。

弟の嫁とは仲良くない。私は苦手。相手もそうだろう。会わないことで均衡が保ててる。

仕事は1年8ヶ月前に辞めた。ひと月短期バイトした以外何も仕事してない。

お金もないし働かないとと思うけどその気が起きない。間違いなく底辺人生を歩んでる。

友達も少ない。一緒にいて少しでもいらっとかもやっとかすると無理に会おうとは思わない。

とここまで自分のことを書いてみてなかなかにとんでもない状況にいるなと思う。

とりあえず自分の気持ちを整理してみることにする。という思いで言葉にしてみる。

そうすることでドラマみたいにささやかな希望の光が見えてくるのか、さらにひどいどん底へと行くのか。自分の行く先を自分で観察してみたくなった。